「彼の病気が」

「彼の病気が」永瀬清子

彼の病気が
彼の病気がもうだめだと知っても
私は決して見舞に行かない。
なぜなら最後に看病する人は私ではないから。
私は遠く離れて
一心に看護できる人を羨むが、
その役目は私ではないから
私は遠く離れて
詩を書くことだけがつとめだから

私は遠く離れて葬式には行かない。
私は一人離れて悲しむことだけがつとめだから。

焔に薪を

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